露と落ち露に消えにしわが身かな 難波の事も夢のまた夢
日本で好まれる花はウメの次はサクラ。千年前の日本では【お花見】といえばウメ。太閤秀吉の醍醐の花見からサクラに。慶長三(1598)年三月十五日に【醍醐の花見】が行われました。実はその前年に秀吉は醍醐寺を訪れて花見をして、いたくこれがお気にめして、その後奈良吉野の山から山桜を数百本の単位で植え替えたと言われています。
京都のお寺のお庭のイメージといえば、決して広々という感覚はない。しかし醍醐寺は広い感覚がある。子どもとは西国三十三所巡りで深雪山上醍醐寺に行ったりしたのでハイキングにももってこい。そして醍醐寺といえば桜、なかでもソメイヨシノよりも先に開花する枝垂れ桜の大きな木が何本もあり、お花見にはホントもってこいだ。ぜひお子さんと醍醐寺周辺をお花見しながら散歩してみてください。
いつかとおもひおくりし よしの山 花を今日しも 見そめぬかな
真言宗醍醐寺派の総本山で醍醐全体が寺院となっている醍醐寺。秀吉の【北野大茶会】とともに【醍醐の花見】として有名で、正室のねね、側室の淀のほか、家来などあわせて約千人とお花見をしたと伝わる。ただ桜といえばソメイヨシノをイメージするが当時はソメイヨシノはまだ開発されていない。
「あぁこれが太閤秀吉さんが観たサクラかぁ」と言っても、たぶんソメイヨシノではなかっただろう。桜を吉野の山や近江から移植した【桜の馬場】には、折れてしまったりしてキズついていはいるが老木の山桜の木があったりする。桜の並木になっているここから、奥へとはいっていくと、さてどんな桜が待っているかという気分にさせてくれる。
春風の吹くとも花はかつ咲きて しづ心にしながめけるかな
花といえば、その時季にどんな花を想像するのか。それは時代によって違う。平の清盛さんが花と言えば「ウメ」だろうし、菅原道真公が花と言えばこれまた「ウメ」だろう。しかしこの和歌の作者・秀吉の時代には花といえば「サクラ」だったのだ。
しかしこの桜は今の時代の「サクラ」とは趣が違う。今の桜はソメイヨシノをさす。ソメイヨシノは奈良の吉野の桜をモチーフに江戸時代染井村で考えられた園芸品種で、接ぎ木でしかクローンがつくれない。だから同じ時期に咲く。
秀吉の頃の桜は【奈良吉野の山桜】や【しだれ桜】の美しさがきわだっていたのだろう。エドヒガン桜などは樹齢百年以上というものも多く、大木になるのもその雄大さが秀吉の豪華趣味と合ったのかもしれない。
醍醐寺はしだれ桜の大木が有名です。しだれ桜は山桜のエドヒガンが変異して枝がしだれた、とも言われています。そのため珍重されて古いお寺さんなどのお庭に大切に守られていたりします。しだれ桜の名所はお寺さんが多いです。
私はいろいろなお寺さんのしだれ桜を観てきましたが、ここ醍醐寺さんのしだれ桜はほんとうに大きい巨木です。しだれ桜でみなさんが一番よく知っているのが【京都円山公園のしだれ桜】、あの桜の三倍くらいの大きさとおもってもらったらいいですね。
しだれ桜は西日本では3月下旬に咲くものが多く、枝が下に垂れない桜よりも、なぜだか早く咲きます。ソメイヨシノの開花よりも早めです。だからお花見の桜の時季にはもう散って葉桜になってたりもします。
ただ醍醐寺さんにはしだれ桜は違う品種のものもあったりしますから、3月から4月へと楽しめます。その点もおすすめポイントです。太閤秀吉さんが作らせたと言われる庭園がある【三宝院】にもりっぱなしだれ桜が咲いています。こちらのしだれ桜は醍醐寺の巨木のしだれ桜よりも開花は遅いとおもいます。
昔より名にはきけども今日みれば むべめなかれせぬ糸さくらか
しだれ桜(シダレザクラ)の花言葉/「優美」
名称 しだれ桜
しだれ桜は、品種ではなく総称で、主な品種は、江戸彼岸(エドヒガン)で、他には八重紅枝垂桜(ヤエベニシダレザクラ)や紅枝垂桜(ベニシダレザクラ)が有名
学名 Cerasus spachiana
和名 しだれ桜、いと桜
科名 バラ科サクラ属
3月19日の誕生花
露と落ち露に消えにしわが身かな 難波の事も夢のまた夢
春風の吹くとも花はかつ咲きて しづ心にしながめけるかな
いつかとおもひおくりし 芳野山の花を 今日しも見そめぬかな
醍醐寺
<基本情報>
住所:京都府京都市伏見区醍醐東大路町22
アクセス:京都市営地下鉄東西線「醍醐駅」下車
観光客の方がわざわざ訪れてGood度(他府県からの観光)
℃+℃+℃+℃+℃(5個で満点)
3月の花といえば?枝垂れ桜@太閤さんの醍醐寺の花見 | 関西花の名所ザ・ベストテン
日本で好まれる花はウメの次はサクラ。千年前の日本では【お花見】といえばウメ。太閤秀吉の【醍醐の花見】から桜に。真言宗醍醐寺派の総本山で醍醐の山全体が寺院となっている醍醐寺。そこには枝垂れ桜の巨木や、エドヒガンの古木など数多くの桜が咲き誇ります。お花見=桜という日本の文化が生まれた地を一度は散策してみたいものです。