思ひいづるときはの山の岩つつじ 言はねばこそあれ恋しきものを
京都市太秦にある常盤の山の岩躑躅のように、言わないからこそあの人に分かってもらえない苦しみ。思い出した時のあの人のことが恋しいこととうたった平貞文。昔の人はこのイワツツジをよく和歌に取り入れている。
山の岩場にもひっそりと咲くコバノミツバツツジは、4月から5月に山に登ると西日本では必ずみかける花。高速道路のトンネル入り口付近などの岩場でも咲いているのをよく見かける。高速を東へクルマを走らせると岐阜県あたりまでこの花が咲いている。
六甲山系にもたくさん咲いている花で、あんまり栄養がなさそうなところでも咲いているので、つい健気なイメージを勝手に抱いてしまう。ただツツジは水が多いところより水はけの良い乾燥した土壌を好むだけだけどね。
芦屋の市の花でもあるコバノミツバツツジ
芦屋川から六甲山系に4月に登ると、芦屋市の花コバノミツバツツジをよく見かける。小さな花なので、上品にも見えるから不思議。コバノミツバツツジの命名は故牧野富太郎博士。
このコバノミツバツツジが最も咲いている六甲山系甲山がある西宮。芦屋の東お隣・西宮は市の花はサクラ。なんでなん? とも思うけれど、夙川の桜並木からだそうで。
西宮とはけったいな?!地名だけど、どこからみての西にある宮さん?と思ったことありませんか? これ平安京からみた西の宮さんということです。京都を守る西の地に宮が置かれた。なんだかパワーがあるように思いませんか。
お椀をひっくり返したような甲山。母校のウラ山なので、よく知っている山ですが不思議な力がある山です。六甲山はその西に位置する高砂・生石神社から山系の中央にある保久良神社、そして東の廣田神社と、神秘的な神社が数多く存在し、パワースポットとしても有名です。
紫花燃え出ずる紫雲の眺め
その甲山の南南東の山麓にあるのが廣田神社。阪神タイガースが必勝祈願する神社として関西圏では有名です。ちなみに阪神甲子園球場があるのは西宮市です。その境内や周りに2万株ものコバノミツバツツジが咲き誇ります。
ただ昭和初期にはその10倍、20万株もの木々がこの周辺には咲いていたそうですが。風光明媚な小高い岡ですから宅地開発されていき2万株にと。それでも圧巻の花の名所です。
廣田神社のコバノミツバツツジは大株で樹齢約150年以上と推定されています。高さも3-4mにもなるので、ホントに豪華です。
今では地域のかたの協力で植栽をしているそうです。ですから何年か後にはその若木も花をつけ、尚一層の花の名所になる日も近い。
ただ三葉千萬人をおびき寄せ
そううたったのが我が国植物学の父である一大権威者の牧野富太郎博士。コバノミツバツツジその名の由来だけれど、葉が小枝の先に三枚輪生する特徴があるから。
ツツジの花は強いために道路の脇の植栽として当たり前で、どこでも見れるためか。コバノミツバツツジをわざわざ観に行こうと思わないのが少し寂しい気がする。またその年の天候によってはそれこそ西宮の市の花のソメイヨシノが夙川で満開だったりするので、そちらの方に人は気を取られるのだが。私たち親子は夙川から廣田神社まで歩いていきますから、ぜひ桜見物とセットでお花見してください。
海外からも観に来られる方がいらっしゃるくらい花の名所としては超有名。ツツジの花は日本が原産で、海外の人には人気ある花でもあります。私も子どもと弁当を持ってコバノミツバツツジを見物に行った時に、海外の人から子どもとお弁当を食べてるところを撮影された思い出が。海外の人にとって、お弁当箱は不思議なようで。ぜひ、みなさんも一度ご覧ください。例年、4月第2土日に廣田神社つつじまつりが開催されます。
今日まではかくて暮らしつ行くすえをめぐみ廣田の神に任せむ
ヤマツツジの花言葉は「もえる思い」
名称/ヤマツツジ 和名/山躑躅(やまつつじ) 科名/ツツジ科ツツジ属 分類/庭木
原産地/日本 丈(高さ)/1m~5m 栽培難易度/初級者向け 開花時期/4月~5月
観光客のかたがわざわざ訪れてGood度℃+℃+℃+℃+℃+5個で満点
廣田神社〒662-0867 兵庫県西宮市大社町7−番7号